スペイン語・不規則な動詞活用にみる3規則〜直説法現在〜
スペイン語文法で厄介な項目のひとつといえば、やはり英語にはない動詞の多様な活用だと思います。
活用には規則がありますが、どの世界にも規則から外れる無法者がいるようにスペイン語動詞の活用にも規則に従わない動詞が多々あります。
ただ不規則でありながらそこにはある程度の規則があるので、今回は代表的なものを紹介したいと思います。
時制によって不規則変化の規則も変わってくるので今回は直説法現在の
についてまとめてみます。
〜go/〜oyに変化する1人称単数
不規則動詞の中でも特に1人称単数だけが不規則な変化する動詞が多いです。
中でも日常的に頻発するような動詞はほぼ不規則変化すると身構えておいて損はありません。
規則変化では1人称単数は-ar /-er /-irの語尾をoに変えますが、oではなく-go / -oyに変化させる動詞は非常によく見ます。
例を挙げるなら
tener => tengo (持つ)
venir => vengo(来る)
dir => digo(言う)
salir => salgo (行く、去る)
oir => oigo (聞く)
caer => caigo(落ちる)
dar => doy(与える)
ser => soy(〜である)
estar => estoy(〜である)
ir => voy(行く)
と言った具合にものの見事にこの単語を使わずに人生を過ごすには無理なくらい頻発する動詞です。
〜zcoに変化する1人称単数
続いても1人称単数のみの場合ですが、語尾がzcoに変化する動詞が多々あります。
見分け方としては動詞の最後が〜cir/〜cerで終わる動詞はこの不規則変化をする可能性がかなり高いです。
具体例ではconocer(コノセール/知る・知り合いである)と、なかなかこれも頻発動詞で、conocoと活用させたいところですが、conozco(コノスコ)と活用します。
なぜこのような変化をするかと言うと一説にはcer/cirはいわゆるサ行の音であることに対し、規則変化させてしまうと、最後の音がカ行(co=コ)になってしまうので、できるだけサ行の音を残すためにzを入れるようになったそうです。
語中のo=>ue / i =>ieの変化
3つ目の例は語尾ではなく、語中の単母音が母音が二重母音になる形です。
現段階でわかっている見分け方は語尾(-ar/-er/-ir)の直前の母音がoの場合はueに、eの場合はieに不規則変化すると言うことです。
しかもこれは1人称複数・2人称複数以外の場合に一様に不規則変化する場合が多いです。
例を挙げてみると、
poder(〜できる) convertir(変わる、〜になる)
1単 puedo convierto
2単 puedes conviertes
3単 puede convierte
1複 podemos convertimos
2複 podeís convertís
3複pueden convierten
と、1・2人称複数以外は語尾の直前の母音が二重母音になります。
全ての動詞を確認したわけではないので、確証はありませんがこう言った不規則変化をする可能性が高いと言えます。
ちなみにですが、ポルトガル語では不規則変化で中の母音が二重母音になる場合はあまり見かけないように思います。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は動詞の非規則変化についてまとめてみました。
不規則と言ってもその変化には規則性があるので毎度覚える必要はなく、ある程度学習をすすめて行けば自然に推測することができるようになると思います。
今回は直説法の現在形のみですが、過去形や他の時制にも不規則変化の活用が存在するので今後紹介して行きたいと思います。
押さえておきたいスペイン語文法厳選3つ
初級から中級にかけてひと通りスペイン語文法を学習してみて、これだけは教科書に穴が開くまで復習しておいて損はない文法を今回は紹介したいと思います。
正直、軽くみていい文法なんてものはないので全部と言ってしまえばそれまでですが、個人的に特に大切だと思う文法は
の3つです。
今回は詳細ではなく、概要について書いてみたいと思います。
Que
Queを制するものはスペイン語を制すと言ってもいいほどスペイン語には欠かすことのできないものです。
Queに最初に出くわすのはおそらく疑問詞のquéだと思います。意味は英語のwhatと同じで「何」です。
その他に英語と同様に関係代名詞や感嘆文などで使われます。
しかしスペイン語ではそれだけに止まらず、比較級の対象物の前に置かれる接続詞(英語のthan)、従属節を作る接続詞(英語のthat)、相手の成功・幸福を願う希望文(例:良い一日を!)。
つまりQueの文法をしっかり理解することで、スペイン語の表現が格段に増えます。
再帰代名詞
動詞に再帰代名詞をともなう表現が英語に比べて非常に多いのもスペイン語の文法でしっかり理解しておきたいことの一つです。
再帰代名詞をともなうか否かで基本的な意味は違いませんが、微妙な違いが生まれてきます。
例として行くという意味のirの場合だと再帰代名詞がなければただ単に「どこどこに行く」という意味なりますが、再帰代名詞をともなうとその場からいなくなるという意味合いが強くなります。
その他体の一部が触れるような動作の動詞は頻繁に再帰代名詞を伴いますし、新しい動詞を調べる際には再帰代名詞をともなう表現があるかどうか、常に気にしておいた方が良いかと思います。
接続法
おそらくスペイン語の文法でかなり厄介なのが接続法だと思われます(対義は直説法)。
英語でいうところの仮定法のような雰囲気をまとっていますが、英語に比べるとその使用頻度はかなり高く、使用方法もより複雑です。
さらに直説法とは別の形で各動詞が活用するので、覚えなければならない活用が実質倍になります。
ただ、スペイン語圏の人たちに聞いてみると彼にとっても接続法は複雑なところがあるらしく、普段の会話でもし間違えても鬼の首を取ったかのように間違いを指摘されることはないそうです。
それでも文章であったり、公的な場面ではしっかりと接続法の使い方をおさえて正しい使い方をするのが望ましいかと思います。
よほどのことがない限り、一回の学習で使いこなすことは不可能だと思いますので、何度も確認しながら覚えて行くのが最善ではないでしょうか。
まとめ
というわけで今回は何度でも復習して損のないスペイン語文法についてまとめてみました。
正直この3つ以外にも難しい文法は山ほどあるかと思います。
それでも今後スペイン語の習得を考えておられる場合に、心構えとして気に留めておいておくと良いかもしれません。
似て非なる英語・スペイン語の同根語
過去の記事で英語とスペイン語の比較について書いていますが、そこで同根語というものに触れました。
根っこが同じ、つまり語源が同じで見た感じが似ているという単語です。
そんな英語とスペイン語ですが、中には擬態をかましてくる単語も多く存在します。
今回は僕がスペイン語を学んできた中でこれはやられたという非同根語をほんの一部ですが、紹介してみたいと思います。
それは
です。
realizar
まず一つ目はrealizar。スペイン語に慣れてくると現れる単語ですが、英語の知識があると"realize=理解する、悟るなど"と同じ意味だと思ってしまいます。
だって似てますから。
でもスペイン語でよく使われる意味としては"実行する"というもので英語では"carry out"に近い感覚です。
英語のrealizeでも実行するという意味もあるようですが、僕個人の感覚ではあまり一般的ではないように思います。
ではスペイン語で英語のrealizeの対訳は何かというとdarse cuenta deです。
どこから突っ込んでいいのか非常に困りますが、よく目にする表現です。
動詞はdarで英語のgiveの対訳です。
seというのは別記事で書こうと思いますが、スペイン語の再帰代名詞でスペイン語の動詞では英語に比べて再帰代名詞を頻繁に使います(人称によって変わります、me, te, nos, vos)。
cuentaは名詞で英語ではaccount, count, checkなどが当てはまります。
deは前置詞で、たった1回の会話でもほぼ必ずといっていいほど出てくるもので、スペイン語になくてはならない前置詞です。
わかりやすく言えば英語のofにあたります。
recordar
これも1回見ただけで英語の"record"の生き別れの兄弟のように見えますが、意味としては英語の"remember"の対訳で、微妙に似ている程度です。
recordのスペイン語対訳としてはgrabarが当てはまり、街ですれ違っても絶対に気づかないほどに似ていません。
molestar
この単語はひょっとしたら広義では同根語になるかもしれません。
スペイン語のmolestarは「邪魔をする、苛立たせる」などの意味があり、英語でいうところの"bother"が対訳としてしっくりきます。
英語にもmolestという単語があり、molestarと同根語と思ってしまいそうですが、英語ではかなりきつめの意味で「意図的にいじめる、性的に悪戯する」と訳せます。
どちらも意味合いとしては相手にとって好ましくないものですが、使い方に注意が必要となります。
ちなみにmolestのスペイン語対訳としはabusar deが代表的です。これは英語のabuseに近い感じで、こちらは同根語と言えるかもしれません。
libraría
この単語は名詞ですが、どうでしょうか?
図書館という意味のlibraryをスペイン語っぽくしたように見えますね。
でもこれ、スペイン語では本屋なんです。
スペイン語で図書館はbibliotecaと言います。
当たらずも遠からずといった具合ですが、間違って使うと相手はちょっと困惑してしまいますのでやはり注意が必要です。
ちなみにスペイン語では名詞の後にríaがつくと(間の母音は変化する場合があります)、それを売っている店という意味になるものが多いです。
libraríaはlibre+ríaで、libreは本という意味です。
他にはzapatería (zapato=靴 + ría)は靴屋、pescadería (pescado=魚 + ría)は魚屋といった具合です。
embarazada
こちらは形容詞で、英語のembarrased(=恥ずかしい、バツが悪い)に似てますね。
スペイン語で-ado/aおよび-ido/aの語尾は基本的に過去分詞なので、その辺りも含めembarrasedと同根語と思いきや、スペイン語での意味は「妊娠している」という、間違って使ってしまうと会話のキャッチボールができない人の烙印を押されかねません。
日常会話でも使う頻度の高そうな意味なので、特に注意が必要です。
恥ずかしいという意味のスペイン語はavergonzadoです。
jubilación
最後にjubilaciónですが、英語にもjubilationという同根語と思わしき単語があります。
英語の場合はあまり日常的なものではなく聞き慣れないかもしれませんが、「大歓喜・祝祭」という意味があります。
それに対し、スペイン語では「定年退職・リタイア」という意味で、英語のretirementが対訳としてしっくりきます。
なので英語で知らなくてもスペイン語で先に知るようになることの方が多いかもしれません(僕はそうでした)。
スペイン人の同業者と英語で話しているときにjubilationを話の流れ的に定年の意味で使っていたので、やはり同根語と誤解しやすい単語なのかもしれません。
まとめ
いかがでしょうか?
確かに英語・スペイン語間で共通の語源を持つ単語はたくさんありますが、微妙に違っていたり注意が必要な単語も数多くあります。
そんな違いの原因・足跡を探るのは学術的に非常に興味深いですが、それは語学の専門家にお任せするとして、今回はこの辺で。